顎変形症を学ぶ

矯正の仕組み

タイトル画像

矯正治療は当たり前の行為になっています。力を継続的に欠けることで歯はきれいに並んでいきますが、どのような仕組みなのかを見ていきましょう。

歯が動く仕組みは歯を覆う組織にある

歯と周辺組織の構造

歯の周辺を見てみると、大きく3つの組織があります。

上記の通り、歯の周辺は簡単に、「歯」「歯根膜」、「歯槽骨(しそうこつ)」、「歯肉」に分けられます。

「歯根膜」と「歯槽骨」はあまり聞くことはないかと思います。

実は矯正の仕組みで関係してくるものが、この2つなのです。

歯根膜、歯槽骨とは

2つの組織はともに歯を支える重要な組織です。

歯根膜は、その名の通り膜で簡単に言えばクッションです。歯の根っこの部分を覆っており、0.1-0.2mmと非常に薄い膜です。

役割は、噛むときの力を吸収したり分散することです。噛んだ時の力が、歯槽骨へ響かないようにしています。歯根膜は、非常に感覚が鋭く、噛んだ際の感覚を伝える役割も果たします。食べ物を噛む際、サクサクとした触感などを感じますが、歯根膜がこの感覚を伝えてくれています。

さらに歯槽骨とむずび付き、伸び縮みする特徴を持っいるなど、その薄さからは考えられない重要な組織として機能しています。

歯槽骨は、骨であり歯を支える土台です。抜けない歯はこの歯槽骨があるからこそです。この歯槽骨は歯を入れる入れ物のようなもので、歯のぐらぐらや抜けてしまうことを防いでいます。

口腔内にいる骨は、その過程で虫歯菌にさらされたりかみしめの力など外部からの影響を受けます。その際、歯槽骨は影響を受けた部分から少しづつなくなってしまいます。これを歯槽骨の吸収といいます。(自ら骨を溶かす細胞を作り出し、骨がなくなります。)

虫歯によって深刻な歯周病になった場合歯がぐらつき、抜けてしまうのはこのためです。ただ骨は完全になくなるわけではなく、新陳代謝により骨の再生も起こります。

歯根膜と歯槽骨が矯正に大きくかかわる

矯正に関わる2つの組織

2つの組織の特徴で矯正に関わるのが、歯根膜の伸縮性と、歯槽骨の新陳代謝です。

矯正では、ワイヤー等で歯に持続的な力を掛けます。動かしたい方向に対して力を掛けることで、は全体がその方向に移動するのを目指します。ただ、歯槽骨で囲まれた歯は簡単には動きません。指で動かしても多少揺れても、その位置は変わらないでしょう。

歯根膜の伸縮縮

しかしながら、持続的な力を掛け続けた際変化が起こります。少しづつ動いた結果、動いた方向の歯根膜が縮み、逆の方向の歯根膜が引き延ばされます。この際、歯根膜は元に戻ろうという力が働きます

これは、動かす方向だけでなく、引っ張られる逆側の歯根膜も同様です。縮まされる歯根膜は伸ばせるように、伸ばされた方は縮むようにと双方の歯根膜が通常の正体に戻ろうとする現象が起きます。

矯正中はこれらのストレスが常にかかる状態となります。

そのストレスを何とか解決しようと、歯槽骨が動きます。

歯槽骨の新陳代謝

歯槽骨が歯根膜の距離を戻すため、歯槽骨自体が形を変えるのです。これが歯槽骨の新陳代謝です。

動いた方向の歯槽骨は、縮んだ歯根膜を戻すために圧迫している分の歯槽骨を吸収し、圧迫している隙間を広げます。

反対側の歯根膜は逆に引っ張られている状態です。移動の分隙間が空いてしまわないよう、ここでも歯槽骨が変化します。

圧迫された歯根膜の分スペースを作った一方で、引っ張られた分歯槽骨が逆に移動するように吸収します。そして最終的には、矯正前のように歯根膜が通常の状態に戻ります。

このように、歯の矯正では移動した歯を支える周辺組織が再度組織され、移動のたびに通常に戻ろうとする仕組みが何度も繰り返されることで、歯の位置が変化していきます。

矯正した歯が動いた位置から元に戻らないのはこの為です。もし骨が再生されなければ、歯はぐらぐらになってしまいます。

まとめ

歯の矯正には、歯を支えるいくつかの周辺組織がかかわっています。継続的な力を掛けて歯を移動させる矯正では、主に歯槽骨と歯根膜の2つが持つ特性がかかわり、歯が理想的な並びに変化します。

表から見れば、歯と歯茎のような単純なものがかかわっていると思われますが、実はほかの組織も関わり複雑な仕組みの上で歯の矯正が可能となるのでした。

-顎変形症を学ぶ