顎変形症を学ぶ

認定医制度について

認定医制度について

医療業界では、医師として働く人の技量をいくつかの段階で客観的に評価し資格を付与する認定医制度が存在します。この記事では、歯科口腔外科を中心に認定医制度について取り上げます。

ポイント

認定医制度概要

資格付与の条件

資格を持つ医師の探し方

各学会が設ける独自資格

認定医制度の概要

認定医制度とは、医師の技量や経験を客観的に示すことや、資格取得に向けた医師の技能を高めることを目的にした資格付与制度です。

特定の医療分野の団体である学会によって運営されています。病院で様々な診療項目があるように、病気ごとに複数の学会が存在しています。資格取得の条件は学会によって決められており、基準をクリアした者に資格が付与されます。

歯科分野の学会の一部:学会名鑑 (scj.go.jp)より 

そんな資格には期限が設けられており、資格維持のためには定期的に更新をする必要があります。その為、資格は医師の技量を表す客観的な指標として、一般の患者が医師を選択する際の情報源としての機能と、医師が絶えず能力を向上する動機を与える役割を持っています。

顎変形症治療では、矯正治療の他、口腔外科での外科手術も伴います。矯正歯科、口腔外科分野ともに学会があり、同様の資格制度を運用しています。

どの資格を持った医師がいいのだろう

各資格の関係

結論として、技量と経験が豊富な医師に担当してもらいたい場合は、専門医資格を持つ医師が第一の候補となります。

資格を付与する団体によって変わりますが、口腔外科を例にすると、資格の付与条件は、認定医、専門医・指導医の順で厳しくなります。資格付与の条件である、臨床試験の経験年数でいえば、認定医は2年以上、専門医は6年以上となり、より専門的な技量と経験が求められていることが分かります。(参考:専門医説明、認定医・指導医説明|口腔外科相談室|日本口腔外科学会 (jsoms.or.jp)

矯正歯科を例にすると、さらに呼び方などが変わります。日本矯正歯科学会では、認定医・指導医・臨床指導医と同じ3つの種類ですが、呼び方が異なっていることが分かります。

専門医と指導医について
双方は、認定医資格を得るための年数等の条件より厳しい条件が必要になっている点において、認定医の資格が前提となっています。その為、双方は認定医の次の段階に位置付けれると言えます。指導医資格には、要件として認定医、専門医に必要な期間以上の医療分野への従事が必要となっていますが、必ずしも手術における技量が優れているわけではありません。指導員は大学等の期間において、認定医を育成するという目的を持っています。教えるという指導が大きな要件となっており、手術における実地の技量は必ずしも認定医よりも優れているとは言えない可能性があります。「参考引用:専門医制度|スマイルガイド 矯正歯科の正しい選択を応援するサイト (smileguide.top)

上記のように資格呼称は、認定する団体によって多少変わります。上にある三種類の資格の呼び方や資格付与条件が異なっていたり、そもそも資格制度が存在しない場合もあります。
その為、口腔外科以外の医師を選ぶ際には、該当分野の団体から情報をチェックしてください。口腔外科を含む歯科関係の分野での団体と、存在する制度については右のサイトから確認ができます。(参考:歯科医師としてのキャリアパス:専門医・認定医を目指す | 麻布デンタルキャリア[シゴト×マナビ]:歯科医師のキャリアアップを支援する会社です (azabu-career.com)

資格取得の条件

顎変形症治療に関わる、日本口腔外科学会、日本矯正歯科学会の二つの団体を例に、両学会の資格条件について見てみます。

下図は、日本口腔外科学会の資格をまとめた表です。

  日本口腔外科学会必要な期間評価項目更新  ​
認定医​初期臨床研修修了後2年以上の研修期間​申請書類審査と筆記試験​5年ごと​
専門医​免許取得後、初期臨床研修を修了してから6年以上​①申請書類審査、②筆記試験・口頭試問、③手術実地審査の3段階​5年ごと​​
指導医​初期臨床研修を修了後12年以上、口腔外科専門医取得後3年以上の研修期間​申請書類審査と手術実地審査・面接の2段階​5年ごと​​
参考:専門医説明、認定医・指導医説明|口腔外科相談室|日本口腔外科学会 (jsoms.or.jp)

必要な期間を見ると、指導医が12年以上と最も多いことが分かります。評価項目からは、専門医が複数種類の条件を満たす必要があり、特に手術実地検査では、実際の手術

必要な期間を見ると、指導医が12年以上と最も多いことが分かります。評価項目からは、専門医が複数種類の条件を満たす必要があります。特に手術実地検査では、実際の口腔外科手術を評価される厳しい試験となります。

三つの資格はすべて一定期間後に執行するものです。それぞれ5年ごとに更新する必要があり、継続した努力と技量の向上が必要となります。

次に、日本矯正歯科学会です。

    日本矯正歯科学会必要な期間評価項目更新
認定医​5年以上継学会会員、矯正歯科研修​学術刊行物に矯正歯科臨床に関する報告​5年ごと​
臨床指導医(旧専門医)​12年以上継続して学会会員​学会の定めた10種類の課題症例を治療し、結果が認められる​5年ごと​​
指導医​12年以上継学会会員で、臨床、教育、研究に専従​大学の矯正歯科での教育指導歴3年以上​指導者講習会出席、刊行物への論文一編掲載等​5年ごと​
参考:recognition_rule.pdf (jos.gr.jp)/
specialist_rule.pdf (jos.gr.jp)/日本矯正歯科学会 認定医・専門医について:矯正専門医の資格について e-矯正歯科.com (e-kyousei.com)

口腔外科と同じような条件が見て取れます。必要な期間としては、臨床指導医、指導医ともに12年以上と認定医よりも多い期間が求めれらます。評価では、学会創刊物への報告や、治療実績の評価が含まれています。更新については、同様に5年ごとに再取得する必要があります。

必要な期間から見ると、認定医≺臨床指導医≦指導医と、見ることができます。

「指導経験も必要になる指導医が一番技量があるんじゃないの?」

と、思われるかもしれませんが、一概にはそうとは言えないようです。

指導医と専門医はどう違うのか(一部抜粋)

・指導医は、矯正を人に教えるための教師としての資格

・大学に一定期間在籍すればよく、治療技術の善し悪しは問われていない場合がある

専門医制度|スマイルガイド 矯正歯科の正しい選択を応援するサイト (smileguide.top)

指導医、専門医ともに、認定医を前提としています。その点、認定医よりも技量が多いと言えますが、手術という観点から見ると資格が持つ上位関係は期間だけでは判断できません。

その為、ネットにおいて医師の経歴や、担当の症例数などをできるだけ調べてみることが必要になります。

資格から医師を検索できます

資格から医師を探す

指導医あるいは、認証指導医はどのように探すのでしょうか。資格を認定する団体それぞれでは、ホームページにて医師情報が登録されており、どの資格を持っているかを確認することができます。

まず矯正歯科の学会の一つ、公益財団法人:日本矯正歯科学会のホームページから見てみます。

ホームページへ行くと、資格を持つ医師を探すページがあります。

上記のように、複数の条件から検索をすることができ、資格の取得状況の他、場所からも探すことができます。

ジャンルから探すより、臨床指導医を条件に、医師を検索してみます。すると、以下のように、臨床指導医の資格を持つ医師の総数、それぞれの医師と所属する医院の情報がリストとして表示されます。

このように、資格から探したり、場所から探すことで診察を受ける医院の選択に役立てることができます。

口腔外科についても同様に、学会のホームページから検索できます。例として、公益財団法人:口腔外科学会のホームページを見てみます。

矯正歯科同様、場所と資格の条件から検索することができます。上記では、指導医を条件として検索しています。

ここから該当する場所を検索すると、指定した場所で登録される医師のリストを得ることができます。下記は東京都を条件として検索した例です。

ここから指定した資格を持ち、指定した場所に勤務する医師を検索できます。

ただし、上記からは医師の勤務医院を知ることはできません。どの病院へ行けばいいかを知るためには、少し面倒くさいのですが、同サイトより、資格を持つ医師が存在する医院を探し、そこから医師を探す必要があります。

先ほどの地図画面の下に、「あなたの街の専門医がいる病院・歯科医院」という選択箇所があります。

そこをクリックすると、同様の地図画面が出てきます。

そこから通いたい医院の場所を選択すると、資格を持つ医師がいる病院の詳細リストを見ることができます。

このように指定した都道府県にある、病院を知ることができます。ただし、ここからは所属する医師は知ることはできません。

その為、先ほど検索した医師の名前を控えておいて、グーグルなどで直接検索するか、上記の病院ホームページから探す必要があります。

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