顎変形症を学ぶ

顎変形症治療・矯正の保険適用条件

顎変形症治療は保険適用される病気です。少ない費用で治療ができますが、そのためには基準を満たした医院での治療など規定の方法で治療を受ける必要があります。記事では、保険適用に必要な条件を紹介します。

記事の内容

・保険適用の条件(治療方法と病院の面)

・対象病院の見つけ方

保険適用の条件、顎変形症治療は2条件:治療方法と病院

保険適用の条件

日本矯正歯科学会にて、保険適用可能な矯正治療の条件が記載されています。実は、条件によっては、顎変形症のように矯正治療も保険適用となります。矯正治療は病的な場合顎変形症治療は病的治療法的面の双方が保険適用条件となっています。

  1. 「別に厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療
  2. 前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)に対する矯正歯科治療
  3. 顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・後の矯正歯科治療
    出典:矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは | 公益社団法人 日本矯正歯科学会 (jos.gr.jp)

このうち顎変形症治療は3を指し、顎変形症治療を保険適用になるには、治療方法と病院の面で2つ条件を満たす必要があると分かります。

①手術前・後の矯正歯科治療であること

②厚労省指定の基準を満たし、地方厚生局長に届出を出している保健医療機関

①手術前・後の矯正歯科治療であること

つまり、術前矯正、手術、術後矯正の三段階の治療をすることが必要です。これらは通常の顎変形症治療を構成するものですが、術後矯正を飛ばした治療方法も存在します。いわゆるサージェリ―ファーストといわれるものです。

その名の通り、まず外科的手術を実施した上で矯正治療を行います。利点としては、

・術前矯正による歯並びの悪化(顎変形症の術前矯正は歪んだ骨に対してまっすぐに歯を並べるため必然的に歯並びが悪くなる)を防げる

・保険適用以外の矯正器具等が選択でき、より患者の要望に応じた治療ができる

等があります。

ただしこの方法は保険適用はされません。矯正医院によってはこの方法をとる箇所もありますが、保険ではないため美容外科でもこの方法を選択できます。また、手術は骨をまっすぐにしてもかみ合わない位置になるなど手術の難易度が高くなるため、術前矯正ありの場合の方が術後の嚙み合わせ状態の期待値が高くなります。

②厚労省指定の基準を満たし、地方厚生局長に届出を出している保健医療機関

術前矯正を取り入れたとしても、保険適用のためには病院の条件も満たす必要があります。保険が適用される病院は、政府機関による基準をクリアして認められた医院に限られます。

日本矯正歯科学会ではこれらの条件を満たす医院を探すことができます。

条件を満たした医院は、冒頭の矯正治療保険適用条件の3つのどちらか/どちらもを保険適用とすることができます。

前者の矯正治療は、冒頭の矯正治療の保険適用条件の内の1,2の矯正治療を対象とし、「矯診」歯科矯正診断料算定の指定医療機関として認められます。

そして、顎変形症治療は「顎診」顎口腔機能診断料算定の指定医療機関として認められた医院で可能で、条件の内3である顎変形症が保険適用されます。

対象施設の探し方は政府ホームページから

流れ

日本矯正歯科学会のサイトを参考に下記3つが流れです。

①厚生省サイト地方厚生(支)局から、自分の地域の厚生(支)局のホームページにアクセス

②サイト内検索に「施設基準届出受理医療機関名簿」を入力する

③県別の受理医療機関より歯科のPDF開き、「矯診」、「顎診」の指定医療機関を探す(顎変形症の場合は「顎診」を探します)

①厚生省サイトから探す

対象のサイトはご自身の場所に応じてサイトが分かれています。地方厚生(支)局にアクセスし、場所を選択します。自分が住む地域、通える場所から選択します。

今回は関東信越厚生局にアクセスします。

②サイト内検索に「施設基準届出受理医療機関名簿」を入力する

アクセス後、右上にあるテキストボックスに「施設基準届出受理医療機関名簿」を入力して検索してください。

検索するといくつかの結果があります。トップにて「保険医療機関・保険薬局の施設基準の届出受理状況及び保険外併用療養費医療機関一覧」保険医療機関・保険薬局の施設基準の届出受理状況及び保険外併用療養費医療機関一覧 (mhlw.go.jp)が出てきます為、クリックしてください。

③県別の受理医療機関より歯科のPDF開き、「矯診」、「顎診」の指定医療機関を探す

アクセスすると、選択した地域の都道府県が以下、歯科、薬局を列にしたテーブル形式で閲覧できます。今回は顎変形症のため歯科列の部分をクリックして、PDFを閲覧します。

例として、東京都の「日本大学歯学部付属歯科病院」が保険適用条件を満たした指定医療機関かを見てみます。

番号等様々な情報がありますが、受理番号列が注目する点です。

いくつかを見ると括弧書きで、矯診と顎診の2つがあります。このうち(顎診)が顎変形症の方が、保険適用で治療を受けるために必要な条件です。

これを持っている医院は、国から顎口腔機能診断施設として、顎変形症を保険適用で治療することを許可されているということです。その為、保険適用で治療を受けるためには、国から許可を得ている矯診と顎診の資格を持つ医院を探す必要があります。

-顎変形症を学ぶ